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獣医師セミナーに行ってきた

そして明大祭の2日後、今度はカワイの獣医師セミナーに行ってきました。1ヵ月も前ですね^^
テーマは『うさぎのエンリッチメントな飼い方』。食生活と飼育環境についての2部制で、それぞれアメリカの獣医師でOXBOW専属獣医ディレクターのDr. Micah Kohles(マイカー・コール)さんとエキゾチックペットクリニック院長の霍野先生がお話して下さいました。

 

「(環境)エンリッチメント」とは、wikiによると-「飼育動物の正常な行動の多様性を引き出し、異常行動を減らして、動物の福祉と健康を改善するために、飼育環境に対して行われる工夫を指す。飼育動物の福祉を向上させるもっとも強力な手段の1つとされる。」-だそうです。

ペットに限らず、檻や施設に入れられている動物は食事や命を狙われる心配をしなくても済む反面、閉ざされた狭い世界での単調な生活は程度の差はあれどストレスにもなりえます。

酷くなると壁に身体をぶつけたり、自分を噛んだり毛を抜いたりといった自傷行動、自分の尾を追いかけ続けたり、首を振ったり檻を行ったり来たりする常同行動などの問題行動を起こすことも。
そこで人間が変化や刺激を与えることで、限られた空間の中でも感覚的・身体的な活動性をアップさせて退屈しない充実した生活をしてもらおうというものです。

ペットであれば既にやっている人も多いと思いますが、例えばケージにハウスやオモチャをおいてみたり、散歩に連れて行って他の動物に触れ合わせたり、窓を開けて外の風を入れたり日向ぼっこさせるだけでも刺激になる、そんな感じです。

その中で私が一番興味を持ったのが「コントラフリーローディング(contrafreeloading)」というもの。
今は動物用語というわけでもないですが、もとは動物心理学者のグレン・ジェンセンという人が作った言葉で、Contra=逆・反対/freeloading=飲食物などを人にたかる、といった意味。日本語では「逆たかり行動」と呼ばれています。多くの動物が、ただで食事を与えられるよりも、何らかの努力の対価として食事を得る方法を好むといった現象のことです。

決められた時間に決められた食事を食べるのではなく、自分で採餌(さいじ)行動ができる方が動物にとっても好ましい、ではそれができるように飼い主が工夫してあげようと言うのです。

Dr.コールが見せて下さった動画には、屋外に作った「ピタゴラスイッチ」のような装置の中をリスが駆け抜けてエサにたどり着く様子や(このリスは自然界でもっと簡単に木の実を取れるのにこの面倒な装置が好きらしい)、ハムスターのケージの中に生きたゴキブリ(!)を入れて捕食させたりしてる様子が映ってました。(これはハードルが高いよ。。)

でもこういうの面白い! と思った私に数日後、タイミングよく娘がInstagramで@puffytailsという方の10月16日の動画を見せてくれました。


可愛いうさぎ達とイケメンが同時に楽しめるというちょっとズルいアカウント。

メッチャ楽しそう。ということで数日後には早速オモチャをゲットしてブン所長で実験しました。
所長は遊び好きなのですぐにノッてくれました。似たような動画が続きますがすみません^^

1. まずは3個から。1番下のカップにオヤツやペレットを入れてます。

2. そして増えていくカップに手こずるブン所長。日々練習だ。。

3. 3週間もするとかなり手際が良くなってきました。

これは「コントラフリーローディング」の効果にはなっているのか、私が芸をさせたいだけか(笑)はともかく、音を聞いて張り切ってやるようになったのでまあ楽しんでくれているのだと思います。少しは研ぎ澄まされたかな?


日本は住宅事情によってもできることが限られるので、例えば牧草を敷き詰めたところにペレットなどをパラパラと撒いて探させたり、下に隠して匂いで探させる、部屋のあちこちに分けて置いて食べるために移動させる、などでも充分な効果があります。

このように食事を分散させる与え方は「scatter feeding(散布給餌?)」と言って
◎メリットは
・満腹になると探すのをやめるので肥満の防止になる
・動物がエサを探しまわる自然な行動が促進される
・エサを探すことによって脳が刺激され、問題行動の原因にもなる退屈を防止する
など。

探すことによって運動量も増加し、見つける楽しさはストレスの発散にもなると思います。

◎デメリットは
・食べた量の把握が難しい。普段より食事量が減っていても気づきにくいので不調の時に対応するのが遅れてしまう
・複数のペレットなどを混ぜてあげている場合、選り好みして好きなものばかり食べてしまったりと、栄養バランスの管理が難しい

など。

それぞれの子の性格にもよりますが、色んなイベントを考えてみるのも楽しそうです。
モルモットやうさぎなどの草食はそもそも肉食動物ほど「エサを取りに行く行動」はしませんし、ストレスになってしまうと本末転倒なので楽しめる範囲でどうぞ。

それにしても「退屈」のケアまでしてもらうとは最近の動物福祉は進んでますね。

ちなみにこのコントラフリーローディングは猫には通じないようで、猫の皆さんは与えられた食事の方を選ぶのだそうです。猫の皆さんもレッツ・トライ!


穴からペレットが出てくる犬のオモチャ。手も使って器用に転がしてます。

参考資料(HP)
BOWL OR SCATTER FEEDING?

学園祭に行ってきた 2

先日の講演会の話の続きです。

杉本さんの講演の後は神野あきらさん、平林雅和さん、和﨑聖子さんを交えて4人でのパネルディスカッションが行われました。始めに神野あきらさんがアメリカの愛護活動についてのお話をして下さり、面白かったので書きます。

神野さんは現在メリーランド州ボルチモアで動物福祉NPO団体「Sunshine Smile」の代表として活動されています。
もともと動物が好きだった神野さん。ご家族の仕事で渡米した当初は英語があまり解らず、地元の無料の英語クラスで勉強していたそうなのですが、しばらくすると無料の期間が終わってしまい、その先のクラスは有料ということに。
「せっかくアメリカにいるのにお金を払ってまで英語を習うのはもったいないな。」と思っていたところ、知り合いに「動物ならあなたが日本語だろうと英語だろうと関係ないよ。」と薦められて動物のボランティア団体に参加したのが愛護活動に関わったきっかけだそうです。

ボルチモアはアメリカの中でも治安の悪い地域で(総犯罪件数は全米平均の約2倍、殺人事件は約7倍!)、いまだにピットブルやロットワイラーを使った賭博目的の闘犬(ドッグファイト)も行われています。
現在、闘犬はアメリカ全土で禁止されているため摘発されれば重罪なのですが、闘犬賭博はギャングやマフィアの資金源になっていて、割と手軽に始められる上に犬の飼育も試合も人目につかない室内で行われるため、なかなか発見が難しいそうです。

闘犬目的で飼われた犬たちはずっと自宅の地下室などに閉じ込められたまま育てられ、闘志を煽るために狭いケージに入れられて棒で叩いて脅かされたり、ウォーキングマシーンなどで無理なトレーニングをさせられたりして肉体的にも精神的にも追い込まれた状態で育ちます。

中には過酷なトレーニングで亡くなってしまう子も。病気になっても治療を受けることはありません。
そうして試合に出ても怪我を負ったり老いたりして使いものにならなくなれば撲殺されてしまい、レスキューされてもピットブルはしつけのし直しが難しいことから殺処分されてしまうなど、闘犬の一生はどのみち悲惨なものだそうです。

ときには試合に出た犬同士を興奮させるために、小型犬や猫が投げ込まれることもあり、里親募集で貰われた猫が犠牲になることもあるそうです。
そんなドッグファイトを見学に来る子どもたちに動物愛護の心は育ちづらく、その負の連鎖を断ち切りたい、子供のうちから動物と正しく関わる情操教育が重要だと考えたことが今の団体立ち上げのきっかけにもなったとおっしゃっていました。

神野さんは保護猫や地域猫活動にも長年力を入れており、不幸な猫を減らすためにTNRや餌やりだけでなく、猫を通して動物福祉に関心を持ってもらい、地域住民全体の意識を変えていこうと活動されています。

ボルチモアは貧困地域でもあるため、神野さんの団体はときどき無料で飲み物と食べ物を配るイベントを実施し、それを目当てに集まってきた人たちに啓発活動を行っています。
特に食べるのに時間のかかる「ドーナッツを食べはじめたらチャンス!」だそうで、「それを食べてる間だけ話を聞いて!」と言って、ペットを飼っている人たちには無料の不妊手術の紹介や、マイクロチップ・室内飼育の重要性、適切な飼育方法(太らせ過ぎはダメなど)の説明をされているそうです。

最初は話が理解できないといった反応の人たちでも、中には「無料で手術できるなら。。」と言ってくれる人もいて、次第に神野さんの行っているTNR活動など不幸な野良猫を減らすことにも理解を示してくれるというわけです。
逆に闘犬や虐待の情報などをリークしてもらうこともあるとか。

保護猫の中には家庭で飼われるのに向かない猫もいて、そんな猫たちは農場で働く「バーンキャット」として、納屋などを寝床にしながらねずみ番として働き、そのかわりに食事や医療の提供を受けるという形で引き取られて行く子達もいます。


日本、特に東京に住んでいると治安がいいのはもちろんですが、闘犬やバーンキャットなど初めて聞くような動物事情が多く、国や地域が違えば福祉の問題点も違ってくるものだなと思いました。アメリカ有数の犯罪地域で活動されているだけに話の内容は重かったのですが、神野さんの明るいキャラクターと軽快な話しぶりに引き込まれ、暗い気持ちにならずに最後まで楽しめました。

私から見ても華奢な神野さんが、ガタイのいい白人や黒人に混じって地域活動したり団体を運営している度胸とパワーは素晴らしいです。かなり目立つだろうに、大丈夫なのかな?心配。。

動物虐待の多い地域ではその他の犯罪も多く、シカゴ警察によると3年間で動物虐待の罪に問われた人のうち、65%には人間に対する余罪もあったそうです。
動物の問題を解決するには、まず人間側の問題を解決していかないといけないともおっしゃっていて、まさにその通りだと思いました。

神野さんは東日本大震災のときも被災地動物情報ブログを立ち上げたり、日本のボランティアとも積極的に関わっていらっしゃいます。
Happy Go Lucky Animal Rescue In AmericaのHPでは上記の話の他にも神野さんの読み応えのあるブログが掲載されていますので是非読んでみて下さい。


日本での闘犬は自治体によっては禁止されていますが、未だに行われている地域もあるようです。遅れてますね。。
高知の「とさいぬパーク(土佐闘犬センター)」は観光向けに闘犬を行っていましたが今年の5月に閉園しています。(その後の犬たちも無事らしい)
禁止しなくてもこんな風に悪習が廃れていくのは嬉しいことです。

youtubeにあった閉園前のとさけんパーク。殺し合ったりまではしないようですが。。

※写真と本文は関係ありません。

学園祭に行ってきた 1

ここのところお客さんが少なく(笑)せっかくなので2件ほど講演会を聴きに行ってきました。
1件目は明治大学の動物愛護サークルtoutouさんが明大祭で主催した講演会とパネルディスカッション。
講演は動物愛護団体Eva代表の杉本彩さん
パネルディスカッションは神野あきらさん(アメリカ動物福祉NPO団体SUNSHINE SMILE代表)、平林雅和さん(オールペットクリニック獣医師/院長)、和﨑聖子さん(特定非営利活動法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)事務局長)&杉本さんというメンバーで行われました。

ちなみに会場になった明治大学和泉校舎は、私が3年前に愛玩動物飼養管理士の試験を受けた時の試験会場だったりします^^


最初にお話をしてくださったのは杉本さん。

学園祭の女王と呼ばれた一時期以来、29年ぶりに学園祭に呼ばれたそうで「ボンテージで歌っていた頃とは全然違うスタイルで久々に戻ってきました。」と笑っていらっしゃいました。

ご自身も3匹の犬と8匹の猫の里親になっている杉本さん、講演では、動物愛護センターで犬の殺処分に立ち会ったときの不安そうな犬たちの様子や、センター長さんの辛そうな様子にショックを受けられたお話にはじまり、

◎年々、犬猫の殺処分数が減少している裏で、最近問題になっている引き取り屋のこと。
 (再び繁殖業者に売られたり、劣悪な飼育環境について)
◎ブリーダーからオークション・バイヤーと流通していく過程で死ぬペットが相当数いること。
 (業者の自己申告なので報告されていないことが多い)
◎多頭飼育崩壊の問題。
 (不幸なペットを減らすために不妊去勢が大事であること)
◎ふれあい動物たちのストレスに対する配慮が足りていないこと。
 (拘束の禁止・飼育スペースの基準値を設ける・温度管理・騒音への配慮・正しい扱い方の指導など)
◎56日(8週齢)まで展示販売の禁止の徹底。
◎動物虐待に対する刑罰が軽すぎること。
◎動物取扱業の飼育施設の大きさや、繁殖回数の制限などの数値基準がないこと。

など、動物福祉の点で問題になっていることをお話されていました。

最近ではテレビ番組で引き取り屋や多頭飼育崩壊などの特集が組まれることもあって、少しずつ動物業界に疎い一般の人達にも問題点が周知されてきている(といいな)のではないでしょうか。

動物福祉の考え方は下記にある「5つの自由」が広く認知されています。
1.飢えおよび渇きからの自由(給餌・給水の確保)
2.肉体的苦痛と不快からの自由(適切な飼育環境の供給)
3.苦痛、損傷、疾病からの自由(予防・診断・治療の適用)
4.正常な行動発現の自由(適切な空間、刺激、仲間の存在)
5.恐怖および抑圧からの自由(適切な取扱い)

そして杉本さんいわく、動物虐待および虐待が疑われるものを発見した時にはとにかくアクションをおこしてほしい、飼い主さんに交渉して改善されなければ警察、愛護センターや地元の保護団体などに相談してほしい、警察はなかなか動かないけど何度も掛け合ってほしいとおっしゃっていました。

そして、来年の平成30年は動物愛護法改正の年なので、是非上記のような問題を改定していきたい、動物愛護法は議員立法なので議員の方達に対する働きかけが大事だと、最後まで熱い想いを語っていらっしゃいました。

何となく杉本さんの話を聞きに来てたのは、既に動物愛護の意識の高い人が多そうな感じでした。
(ただのファンと思われるオッサンもチラホラww)
今後は、あまり動物に興味のない人にも動物福祉が当たり前の意識として広まって、動物の地位が向上していくと嬉しいです。

後半のパネルディスカッションについてはまたそのうちに、、書きたいな。


それにしても虐待の定義は難しいです。テレビで太り過ぎのペットをおもしろく紹介していることがあり、あれも酷いものは虐待という人もいますが、大体の飼い主さんはかなりの愛情を持って世話しているので、虐待とは違うかな。。私としては。

愛情があるけど無知の結果ペットに可哀想な思いをさせてしまう、というのは割とありがちです。もちろん無いのが理想ですが。
私も先代うさは不正咬合にさせてしまったし、現在やっていることもベストじゃないかもしれません。

厄介なのが、最低限のお世話がされているけど愛情が感じられない場合です。(学校の飼育小屋などでも見られるヤツ)
注意することで飼い主のプライドを傷つけてしまい、話がこじれたり、変な人と思われて警戒されてしまうかも。ペットを隠されでもしたら、もうなす術がありません。

せっかく救おうとしたのに更にその子をを不幸にしてしまう可能性も出てくると思うと、なかなか踏み出す勇気が出ません。しかもネグレクトなどの「やっていないこと」は証明が難しい。。

人間の虐待やDVの場合でもうまく解決しないのに、自由もなく言葉も話せない動物では更に厳しそうです。疑わしきはとりあえず一時的に強制保護できるような仕組みになるといいなあ。


ところで、パネルディスカッションでJAVA事務局長の和﨑聖子さんが紹介していましたが、JAVAをはじめとした3団体で来年の法改正に向けて署名を募集しています。
「あまり愛護法には詳しくないし、議員さんに直接意見書なんてハードルが高い、でも動物のために何かしたいな。。」という方(私も)はこちらの署名用紙を利用してみてはいかがでしょうか。

動物愛護法2018年改正へ向けて署名にご協力ください<国会請願署名>

DLして内容を読み、賛同できる方は署名をして郵送するだけです。FAXはダメみたいですよ。
2018年1月15日着まで受け付けているみたいなので是非利用してみて下さい。