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学園祭に行ってきた 2

先日の講演会の話の続きです。

杉本さんの講演の後は神野あきらさん、平林雅和さん、和﨑聖子さんを交えて4人でのパネルディスカッションが行われました。始めに神野あきらさんがアメリカの愛護活動についてのお話をして下さり、面白かったので書きます。

神野さんは現在メリーランド州ボルチモアで動物福祉NPO団体「Sunshine Smile」の代表として活動されています。
もともと動物が好きだった神野さん。ご家族の仕事で渡米した当初は英語があまり解らず、地元の無料の英語クラスで勉強していたそうなのですが、しばらくすると無料の期間が終わってしまい、その先のクラスは有料ということに。
「せっかくアメリカにいるのにお金を払ってまで英語を習うのはもったいないな。」と思っていたところ、知り合いに「動物ならあなたが日本語だろうと英語だろうと関係ないよ。」と薦められて動物のボランティア団体に参加したのが愛護活動に関わったきっかけだそうです。

ボルチモアはアメリカの中でも治安の悪い地域で(総犯罪件数は全米平均の約2倍、殺人事件は約7倍!)、いまだにピットブルやロットワイラーを使った賭博目的の闘犬(ドッグファイト)も行われています。
現在、闘犬はアメリカ全土で禁止されているため摘発されれば重罪なのですが、闘犬賭博はギャングやマフィアの資金源になっていて、割と手軽に始められる上に犬の飼育も試合も人目につかない室内で行われるため、なかなか発見が難しいそうです。

闘犬目的で飼われた犬たちはずっと自宅の地下室などに閉じ込められたまま育てられ、闘志を煽るために狭いケージに入れられて棒で叩いて脅かされたり、ウォーキングマシーンなどで無理なトレーニングをさせられたりして肉体的にも精神的にも追い込まれた状態で育ちます。

中には過酷なトレーニングで亡くなってしまう子も。病気になっても治療を受けることはありません。
そうして試合に出ても怪我を負ったり老いたりして使いものにならなくなれば撲殺されてしまい、レスキューされてもピットブルはしつけのし直しが難しいことから殺処分されてしまうなど、闘犬の一生はどのみち悲惨なものだそうです。

ときには試合に出た犬同士を興奮させるために、小型犬や猫が投げ込まれることもあり、里親募集で貰われた猫が犠牲になることもあるそうです。
そんなドッグファイトを見学に来る子どもたちに動物愛護の心は育ちづらく、その負の連鎖を断ち切りたい、子供のうちから動物と正しく関わる情操教育が重要だと考えたことが今の団体立ち上げのきっかけにもなったとおっしゃっていました。

神野さんは保護猫や地域猫活動にも長年力を入れており、不幸な猫を減らすためにTNRや餌やりだけでなく、猫を通して動物福祉に関心を持ってもらい、地域住民全体の意識を変えていこうと活動されています。

ボルチモアは貧困地域でもあるため、神野さんの団体はときどき無料で飲み物と食べ物を配るイベントを実施し、それを目当てに集まってきた人たちに啓発活動を行っています。
特に食べるのに時間のかかる「ドーナッツを食べはじめたらチャンス!」だそうで、「それを食べてる間だけ話を聞いて!」と言って、ペットを飼っている人たちには無料の不妊手術の紹介や、マイクロチップ・室内飼育の重要性、適切な飼育方法(太らせ過ぎはダメなど)の説明をされているそうです。

最初は話が理解できないといった反応の人たちでも、中には「無料で手術できるなら。。」と言ってくれる人もいて、次第に神野さんの行っているTNR活動など不幸な野良猫を減らすことにも理解を示してくれるというわけです。
逆に闘犬や虐待の情報などをリークしてもらうこともあるとか。

保護猫の中には家庭で飼われるのに向かない猫もいて、そんな猫たちは農場で働く「バーンキャット」として、納屋などを寝床にしながらねずみ番として働き、そのかわりに食事や医療の提供を受けるという形で引き取られて行く子達もいます。


日本、特に東京に住んでいると治安がいいのはもちろんですが、闘犬やバーンキャットなど初めて聞くような動物事情が多く、国や地域が違えば福祉の問題点も違ってくるものだなと思いました。アメリカ有数の犯罪地域で活動されているだけに話の内容は重かったのですが、神野さんの明るいキャラクターと軽快な話しぶりに引き込まれ、暗い気持ちにならずに最後まで楽しめました。

私から見ても華奢な神野さんが、ガタイのいい白人や黒人に混じって地域活動したり団体を運営している度胸とパワーは素晴らしいです。かなり目立つだろうに、大丈夫なのかな?心配。。

動物虐待の多い地域ではその他の犯罪も多く、シカゴ警察によると3年間で動物虐待の罪に問われた人のうち、65%には人間に対する余罪もあったそうです。
動物の問題を解決するには、まず人間側の問題を解決していかないといけないともおっしゃっていて、まさにその通りだと思いました。

神野さんは東日本大震災のときも被災地動物情報ブログを立ち上げたり、日本のボランティアとも積極的に関わっていらっしゃいます。
Happy Go Lucky Animal Rescue In AmericaのHPでは上記の話の他にも神野さんの読み応えのあるブログが掲載されていますので是非読んでみて下さい。


日本での闘犬は自治体によっては禁止されていますが、未だに行われている地域もあるようです。遅れてますね。。
高知の「とさいぬパーク(土佐闘犬センター)」は観光向けに闘犬を行っていましたが今年の5月に閉園しています。(その後の犬たちも無事らしい)
禁止しなくてもこんな風に悪習が廃れていくのは嬉しいことです。

youtubeにあった閉園前のとさけんパーク。殺し合ったりまではしないようですが。。

※写真と本文は関係ありません。