先月から作りたかった野菜の成分表を作ってみました。
「うちの子は牧草大好き、水もたくさん飲んで健康です!」という方はわざわざ野菜をあげなくてもいいと思います^^
でも大半の方は補助食として、あるいは牧草の副食として野菜をあげているのではないでしょうか。
食事内容は年齢と共に変わるのが自然だと思いますし、それぞれの体質や体調、好みもバラバラなので正解はありません。
今は良いとされる飼育法も日々新しい情報が出て変わってくるのでしょうが、何か一つでも「ふ~ん」と思って頂けると幸いです。
水を一切飲まなかったウチの先代うさは春先だけ味わえる生グリンピースが大好きでした。
豆類はカロリーが高くて全然お勧めしませんけどね^^;変な食生活だったなぁ。。。
成分表だけ作るつもりで調べているうちに書きたいことが増えてきてしまったのですがとても全部は書ききれませんのでさらっと。
一番下に出典がありますので詳しく知りたい方はとても為になりますのでご覧下さい。
◎不溶性食物繊維と食物繊維総量
成分表の数値の参考にさせて頂いた「日本食品標準成分表」では、食物繊維は「水溶性」と「不溶性」に分けて記載されています。偉そうに難しいこと書いていますが私も理解しているのかアヤシイ。。
水溶性食物繊維 |
水溶性ペクチン(野菜・果物等)、グルコマンナン(こんにゃく)、アルギン酸・フコイダン(昆布・ワカメ等)、カラーギナン(紅藻類)、など |
不溶性食物繊維 |
不溶性ペクチン(野菜・果物等)、セルロース・ヘミセルロース(豆類・穀類・植物性食品全般)、リグニン(豆類・ココア等)、キチン(エビ・カニ等の殻、キノコ類)、など |
「水溶性食物繊維」は水に溶けやすく水分を含むとゲル状になるのが特徴。腸の内容物を円滑に動かしてくれる作用があります。
「不溶性食物繊維」は水に溶けにくく水分を含むと膨張し便のかさを増やします。人間の場合、摂りすぎは禁物ですが草食動物にとっては腸の微生物を増やしたり動きをを活性化させてくれる貴重な栄養源です。
「食物繊維総量」は上記の2つを足したものになります。
牧草やペレットの袋に書いてある「粗繊維」は、ほぼセルロース(+リグニンの一部)を指しています。
「不溶性食物繊維」は「中性デタージェント繊維(NDF)」と言われる物に近いかもしれません。
先日ご紹介した「Chinchilla Vie」様の牧草のページにも食物繊維の解りやすい図と説明が載っています。
◎シュウ酸とカルシウム
食物から摂取したシュウ酸が消化管を通り、小腸でカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなった場合は便として排泄され問題ないのですが、それぞれが腸から体内に吸収されて腎臓に送られてからシュウ酸カルシウムになった場合は結石の原因になってしまいます。
うさぎのカルシウム尿中排泄率は他の多くの哺乳類では2%以下であるのに対し45%~60%といわれており、体内にカルシウムを蓄えておくことができません。
時々白い濁った尿が出てぎょっとした方もいるのではないでしょうか。摂ったカルシウムが体に吸収されにくく、尿にたくさん排出されてしまう動物なのです。
以前はカルシウムの過剰摂取が結石の原因になると考えられていて、長い間うさぎにはカルシウムを制限した食事が推奨されてきましたが、最近はむしろカルシウム不足による弊害を問題視する研究結果もあるようです。
基本的な骨代謝もあり、歯が一生伸び続けるうえに蓄えることができない体質なのだからある程度は摂取させないと健康を損なう、というわけです。
カルシウムよりも注意したいのはシュウ酸で、シュウ酸の摂取を避けることで結石の発生を予防すれば日常的に摂取するカルシウムについてはそこまで神経質に制限する必要はないというのが最近の専門家の意見のようです。
ただ体内に蓄えられなかったカルシウムなどのミネラルが腎臓などで停滞するとよくありません。
そのためには水分を充分に摂ってどんどんオシッコして。。なのですが、そんな話をうさぎにしても頑張って水は飲んではくれません。飲水量を人間が調節するのはとても難しいです。
うさぎは全般に飲水量が少めな気がします。
「うさぎは水飲まないんでしょう?」なんていう人がいまだにいます(私の叔父)。
昨年から預かりをしていた「だるまうさぎレスキュー」の3匹はたまたまかもしれませんが結構よく水を飲むタイプだったので遺伝的な体質が関係しているのかな?
水をあまり飲まないうさぎは野菜を多くしたり、給水ボトルをやめて皿であげるとよく飲んでくれるかもしれません。ただ野菜を食べ過ぎるとお腹が緩くなる子も多いので理屈通りにはいかないですが^^;
「野菜もあまり好きじゃない」といううさぎは普段の牧草に食べやすい(柔らかい・嗜好性の高い)牧草を混ぜるとたくさん食べるようになって水を飲む量も増えたりします。
野菜を増やす場合は牧草はそのままで、ペレットを減らすようにして下さい。
低カルシウムのペレットでも0.5%~と、そこそこカルシウムは入ってます。例えば2kgのうさぎに規定量(80g)をあげるとカルシウムを400mg以上摂取することになり、葉野菜の中でもややカルシウム多めな小松菜1袋(約250g)を食べるのと同じくらい、少なめなサラダ菜だと7袋(約700g)とかなりの量になります。
ペレットを減らして、その分いろんな野菜を選んであげればカルシウム量も栄養バランスもその子に合ったものに調節できます。
野菜の90%前後は水分なので、水分10%程度のペレットより水分がかんたんにたくさん摂れて腎臓にも優しいですよ。
牧草や野菜を食べてくれるならペレットは1日1回のオヤツかサプリ程度の量まで減らしてしまってもいいと思います。健康な大人は袋に書いてある量の半分以下で充分。
ペレットは日常の補助食品としては優れていますし体調の悪い時には体に負担をかけずに必要な栄養素が摂れるところは便利だと思います。
そのうち各社ペレットの比較もしてみたいと思います。
長くなってしまいましたが結石予防には
・シュウ酸の摂取量に気をつける
・水分を多く摂る
・適度な運動
人間と同じですね。
それにしてもパセリってカルシウムもシュウ酸も何でこんなに多いんでしょうか?ビタミンが豊富で好きな子も多いのに。パセリはかさばっているので見た目ほど量はないですが気をつけよう。。
◎リン
リンも体内でカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなり結石の原因になるようですがうさぎの結石の原因はほとんどがシュウ酸カルシウムによるものです。リンは植物の構成要素なのでうさぎ的には避けることが難しく、また生きていく上で必要な栄養素でもあり不足すると成長不良や骨形成不全をおこしますのであまり神経質にならない方がいいでしょう。
シュウ酸値に関してはあちこちから拾い集めた数値のため、数値に幅があるものに関しては信用性がない上にソートもできなくなってしまいました。
見づらいので申し訳ないですが(ほんの)少しの参考になればと思い載せています。
USDAと松山東雲短期大学の宮田富弘氏のデータはあちこちで引用されておりまとまったシュウ酸値のサンプルは少ないようです。どなたかいい資料があったら教えて下さい(´-ω-`)
※チコリの脂質「Tr」は成分の最小記載量の1/10以上5/10未満。
参考文献(HP)
【野菜成分】
シュウ酸以外の数値:文科省 日本食品標準成分表2015年版
イタリアンパセリ・パクチー・ベビーリーフ:S&B食品株式会社
【シュウ酸値】
無印:USDAアメリカ合衆国農務省
*:わがままモルモッ子様の「松山東雲短期大学 カメゼミ調べ 1999」より。(引用元が消えていて残念。。)
**:ぱんさのカニのいる生活様の集計したデータより。
【その他】
うさぎといっしょ「尿結石の予防方法・原因について」
うさぎの健康手帳